自己肯定感について

精神科医のばんどうです。

僕の勤務する病院では年間約100人の自殺未遂者が病院に運ばれてきます。

中には理由もなく死にたい気持ちが強まってしまい、行動に移してしまう人(いわゆる内因性精神病で、薬による治療が必須の人)もいますが、多くの方は「自己肯定感」がとても低いように感じます。

日々自己肯定感が低い方とたくさん接している僕が、自己肯定感についての本をたくさん読む機会があったので、気づいた点を述べようと思います。

特に定義について、記載しようと思います。

自己肯定感とは

自己肯定感を辞書で引くと、次のように書いてあります。

自分を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。自己否定の感情と対をなす感情とされます。

要するに

自分が自分であることに満足し、価値ある存在として受け入れられること。

さらに僕なりに要すると

ありのままの自分を無条件に認めることです。

しかし現代人は自己肯定感とごっちゃになっている概念があります。それが以下になります。

自己有用感と自己効力感

これらは自己肯定感とは異なるもので、条件付きの感覚です。

取り扱いには注意が必要です。

自己有用感とは、自分が他の人の役に立っているという感覚です。

自己有用感がいきすぎてしまうと・・・

・自分が本当に何がしたいのかわからなくなってしまう

・自己犠牲に走ってしまう

・他人にも自己犠牲を期待してしまう。人の幸せを喜ぶことができない

・感謝してもらえないと腹がたつ

・人から感謝されても素直に受け入れられない

・世話した人が巣立つと喪失感がある

自己効力感とは、自分は何かを成し遂げる事ができるという感覚です。

自己効力感がいきすぎてしまうと・・・

・うまくいってる間はいいが、うまくいかなくなった途端に大きく崩れる

・一度手に入れた高いポジションを手放したくないので、新しいことにチャレンジしない

・新しいことにチャレンジする時に非現実的な高い目標を設定してすぐに挫折する

つまり、自己有用感と自己効力感は「自己肯定感」とは似て非なる概念なのです。

まずはこの自己肯定感の概念の罠に気づくだけでも自己肯定感を高める第一歩だと思います。

まとめ

冒頭にも示しましたが、自己肯定感とは、ありのままの自分を無条件に認める事です。

自己有用感でも自己効力感とも違う、「自己肯定感」を高めていく事だ重要なのです。

ではその「自己肯定感」を高めるためにどうすればいいのか

そのための大事なキーワードは、運動、セルフコンパッション、マインドフルネス、森田療法です。

すべてに共通しているのは、自分が自分の一番の味方になってあげることです。

そこについての記事も後日また書こうと思います。

今回は自己肯定感の認識の誤認についてでした。まずはここに気づく事から始めましょう

ではまた次回の外来も予約しておきます。必ずまたお会いしましょう。

参考文献

色々と読みましたが、、、特に下記の本が定義について詳しく書いていました。参考までに。

「鋼の自己肯定感 最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣から開発された”二度と下がらない”方法 / 宮崎 直子」

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