映画「怪物」をみて(映画館25人舌打ち事件)

あの時僕が出会った「怪物」は、視点によって「仲間」にもなるし、やはり「怪物」なのかもしれない

これが一般的な「怪物」レビューになるのだろう

しかし僕の「怪物」レビューはこうだ

あの時僕が出会った「怪物」は、スーパー戦隊シリーズのブラック的な存在なのかもよぉ??

国枝監督の「怪物」をみた日は日曜日だったが、病院のオンコール当番の日だった

簡単に言うと、ほぼ休みだけど電話で呼ばれたら病院に行かないといけない日だ

いつもほとんど病院から呼ばれないので大丈夫だろうと高を括り、ずっと見たかった「怪物」を映画館に見にいった。僕は坂本龍一の大ファンであり、彼が劇中の音楽を担当した遺作でもあるので、どうしても見に行きたかったのだ。

やっと都合がつき、二子玉川の109シネマズの席についた。ワクワクしながら上映前の新作映画の番宣をみていると、ポケットのスマホが一定のリズムで断続的に震え出した。

この一定のリズム・・・電話だ・・・・

僕は真ん中の方の席に座っていて、5人ほど前を横切らないといけない席だった。

電話に出ないといけないため、急いで5人に平謝りしながら横切ったのだが、一人のおば様から大きめの舌打ちが聞こえてきた

うわーっと思いながら、映画館をでて電話にでると、病院から来院要請の電話であった。

まじか・・・と思いながら話を聞くと、そこまで緊急の来院要請ではなかった

あぶねぇ・・・と思いながら「2時間後くらいに行きますので」と伝え、また5人横切り、席にもどった。

ぎりぎり上映には間に合ったのだが、上映開始30分後くらいに、また忌々しい一定の振動が、太ももを震わせた・・・

まったくもってついていない・・・

また席をたって今度は慎重に5人を横切り、映画館をでて電話にでた。

するとなんということだ! 同じ内容で、違う病院関係者からの電話だったのだ!

「それさっきの〇〇さんのことですか?」と聞くと案の定

「そうです」と悪びれもせずに淡々と答えやがった

イラっとしながら「さっき2時間後に行きますと〇〇先生に伝えましたので」と答え電話をきり、そのまま席に戻ろうとしたのだが

でもまてよ・・・・また電話がかかってくるかもしれない・・・・

もしまた電話がかかってきたら、また5人を横切って席に戻らないといけない

さっきのおばちゃんに絶対舌打ちされるし、もし戻ってからまた電話がかかって来ようものなら、1回目の横切りから合計すると、計25人も横切ってしまうことになる・・・・

そんなことをしたら一人ずつ舌打ちされて、癖の強いメトロノームが映画館に鳴り響いてしまう・・・

でもちょっとまてよ・・・2回目の電話がこなかったらずっと元の席で見れたのに!!

ちゃんと病院のスタッフどうしで要件まとめて1回の電話で済むようにかけてこいよ・・・くそ・・・

というか、おばちゃんあそこで舌打ちする!? まだ番宣のタームだったよ?? 

これ誰が悪いの?? 病院?おばちゃん?それとも俺? これ怪物だれ??

「怪物」が楽しみだったあまりに、勝手に周りを「怪物」だらけにしてしまっていた僕は

結局、俺が怪物か・・と悟り、やはり申し訳ないから入り口の横で立見することにした

これが大きな伏線となり、映画を見終わってからこう思った

長くなってしまったが、ここからがやっと映画の本レビューである

みんな自分の都合があって、その都合に合わせて怪物を作り出してる

人間は、困った事象に対して、明確な理由や原因、つまり「怪物」を作らないと、安心できない生き物だ

原因がない方が怖いしどうすることもできないから

みんな不安なだけなんだ

それらを踏まえて、僕は性善説を信じたいと思う

スーパー戦隊シリーズのブラックは、敵か味方かわからないけど、最終的には仲間だったりする

急に後ろからガッと押されるとムカつくけど、それは車に轢かれそうになったのを助けようとしたのかもしれない

だから根っからの「怪物」なんていやしない

国枝監督も、誰が怪物なのか探して欲しいわけではないと思った

(怪物の題名の前に「なぜ」という題名の時もあったという噂を聞いた)

劇中、同じ時間軸をそれぞれの視点振り返っていくのだが、映画を見終わっても説明がつきにくい不可解なシーンやセリフが多々あったが、おそらくは感情的になっている人や、都合という色眼鏡を通してみると、まったく起きてない出来事も起きているかのような錯覚に陥るというのを体現しているのでは?と思った。

だれにだって、「怪物」に見える人がいると思う

そんなとき、スーパー戦隊シリーズのブラック的な存在なのかもよぉ??

と思うと、少し違った視点で物事を見れるかもしれない

それにしても映画を見た後に、こんなに感想を言い合いたい映画も珍しい

それだけ面白い映画なのだろう

映画館での「25人舌打ち事件」においての「怪物」は、僕でもなければ舌打ちおばちゃんでも2回目に電話をかけてきた奴でもない

面白すぎる「怪物」自体が「怪物」だったのだ!!

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