なぜSNSに子供の写真をUPせずにいられないのか(承認欲求とSNS)

私は、SNSに子供の写真をUPする人が苦手だ

昨今では、SNS、特にInstagramのストーリーで子供の写真を投稿する人をよくみる

FacebookがSNSの主流だったころには、そこまで気にならなかったが、最近はどうも気になってしまう

今回、私がなぜこのような人達が苦手なのか、なぜSNSに子供をUPせずにはいられないのか

SNSと承認欲求の関係について紐解きながら考察していこうと思う

SNSと承認欲求

SNSと切っても切れない関係にあるのが、承認欲求だろう

ある研究では、承認欲求の高い者は Twitter やInstagram を利用しやすく

スマートフォンに触れる頻度が高い傾向にあるという

承認欲求を手元の辞書で調べてみると

他人から肯定的な評価を受けたい、否定的な評価をされたくない、自分を価値のある存在だと思いたいという欲求。とでる

昔はこの評価を得られる人は一部のメディア関係者や政策決定者、専門家に限られていた

それが現代ではSNSの復旧により、気軽に発信することができるようになった

この評価、つまり承認を、SNSのイイねという形で簡単に獲得することができるようになったのだ

その簡便さにより、SNS中毒になる人もいる

中毒とは大袈裟なと思うかもしれないが

イイねを確認する度に少量のドーパミンが脳から分泌される

その結果、脳が快感を学習し、イイねがまた来ていないか、常にSNSの通知がきになってしまう

別にみるつもりがないのに、SNSアプリを開いてしまった経験がみなさんにもないだろうか

SNSは、人の承認欲求を慢性的に刺激する、いわば現代の合法ドラッグといえるだろう

イイねを求めるばかり、常に投稿できるネタを探している現代人は多いのではないだろうか

しかし目まぐるしい毎日を送り、常にネタがつきない人間は、ほんの一部だろう

変わらない日常のなかで、ネタに困窮してしまった人たちが

無意識のうちに「イイねをもらうネタ」の一つとして、子供の写真をUPしているのかもしれない

マズローの欲求段階と承認欲求

SNSと承認欲求の関係性を述べていると、あたかも承認欲求が悪者であるかのように見えてくる

しかしそんなことはない。我々人間は承認欲求があるからこそ、努力をすることができるし、文化を発展させてきたと言っても過言ではない

「マズローの五段階欲求」で有名なアメリカの心理学者マズローは欲求の階層説を唱えている

以下に図と解説を示す

生理的欲求:食事や睡眠、排せつといった人間が生きていくための本能的な欲求を示した階層

安全欲求:身の危険を感じるような状況から脱したいという欲求を示した階層

社会的欲求:集団に所属したり仲間を得たいという欲求のことです。「所属と愛情の欲求」ともいわれる階層

承認欲求:他者から認められたいと願う欲求のことです。具体的に言うと「所属している集団の中で認められたい」、「他者から尊敬されたい」といった欲求の階層。他者承認欲求とも言われる

自己実現欲求:自分が満足できる自分になりたいという欲求を示した階層。第一階層から第四階層までの全ての欲求が満たされた場合に至ると言われている。自己承認欲求とも呼ばれる

マズローは「承認と自己実現の欲求」は高次の欲求であり、むしろ好ましい欲求と述べている

小さい子供は「すごいね!」と言われるとうれしくて頑張るし、褒めることで(承認すること)で良い結果が生まれることもたくさんある

ある研究では、離職率が高いことが問題視されている看護師に対して

ほめる取り組みや表彰制度を取り入れたところ、離職抑制効果があることが示唆れているという

そのため承認欲求も、うまく機能すれば+に働くことも多いのだ

しかし一方で高次の欲求に意識がいきやすい先進国日本では、うつ状態等のメンタル不調を起こしやすいという欠点がある

最近ひろゆきがYouTubeの切り抜きでこんな事を言っていた

昭和の時代に比べて、若者の殴り合いの喧嘩が減っていると思うんです

昔のいじめは暴力がメインだったが、最近は陰湿ないじめが多そう

ボコボコにされた経験がある人は、毎日ボコボコにされるより、無視や嫌がらせをされた方が、体の安全が確保されているので、遥かに幸せだと感じるんですよね。だから全部そうではないと思いますけど、殴られた経験のある人の方が、メンタル不調は少ないんじゃないかと思います(一部抜粋)

ひろゆきの言っていたことを、マズローの五段階欲求に当てはめてみると

日本では、ボコボコにされる身の危険を感じることも少ないし、食料に困ることも少ない

つまり先進国の方が、基本的に下位の欲求が満たされているひとが多いため

より上位の欲求に意識がいきやすい

高次な欲求を満たすことは考え方次第なところもあるため、うつ状態等のメンタル不調を起こす人も増えるのだろう

さらにSNSで、華やかな他人の日常に影響され、理想はどんどん高まり、現実とのギャップに苦しむ人も増えているのではないか

またSNSは、社会的な地位など関係なくイイね(承認)をもらえるため

社会的欲求を飛ばして承認欲求を満たせると言われている

SNSは日本人の承認欲求を簡便に獲得できる、先進国に親和性の高いツールなのである

承認欲求の一つである同化欲求

なぜSNSに子供の写真をUPせずにいられないのか

その答えは、ドーパミンとSNS、マズローの五段階欲求における承認欲求により十分説明がつくだろうが

それ以外にも理由はあると考える

子供の写真の投稿は、評価をもらうという意味では、そこまで強烈な力はもっていない

いわゆる非日常であればあるほど、SNSにUPする傾向にあるが

子供はいわゆる「日常」にあたるのに、なぜ写真を投稿するのか

そこには「同化欲求」というものが関係している

同化欲求とは、周囲と同じことをして仲間として認めてもらいたいという欲求だ

私は特別じゃない、みんなと同じ生活を送っていると思ってもらいたいという心理が、知らず知らずのうちに表れているのだ

「みんなと一緒でいたい」「仲間外れにされたくない」という意識が強い

「みんなと同じなんだよ」ということをアピールすることで、承認欲求を高めてるいるのだ

同化欲求は承認欲求の一つと言われており、マズローの五段階欲求においては、高次欲求の類に分類されるが

「仲間でいたい」という気持ちから発生するため、社会的欲求(所属と愛情の欲求)に近い要素もあると考える

同化欲求を満たすという意味でもSNSは、簡便で便利なツールであるのだ

現代は育児ハードモード

同化欲求以外にも、子供の写真をSNSにあげなければいけない理由はある

現代は育児ハードモードなのである

とてもじゃないが、一家庭で子供を育てていくのが大変すぎるという点だ

昔はお隣さん付き合いや地域の関わりが密接であったり

だいたいは家族が近くに住んでおり、育児をしていいく上でサポートを受けられることが多かった

現代では、転勤を余儀なくされるケースもあるし、そもそも共働きの家庭の方が一般的だ

保育園の確保に苦労する話もよくニュースでみる

現代の子育てには、マンパワーが足りていないのだ

サポートが望めない家庭が、育児をしていく上で頼りになるのは、Googleであったり、子供を持つ友達である

つまりSNSは困った時に頼る仲間を作るネットワーク作りにとても役立つのだ

加えて、子育てのために、仕事や自己実現を断念する人もたくさんいるだろう

育児は大変なわりに、承認を得られることが少ない

育児などできて当たり前、という社会の風潮がなぜか蔓延しているのである

比較的短時間でコスパよくSNSで承認欲求を満たすことにより

育児への不安や、日々のストレスを、打ち消そうとしている

子供の写真をUPせざるをえない状態なのもかもしれない

おわりに

なぜ子供の写真をSNSにUPせざるを得ないのか

ドーパミンとSNS、マズローの五段階欲求、同化欲求や育児ハードモードに絡めて考察してきた

現代、特に若者は、満たされることのない欲求をSNSでみたそうとする傾向にある

しかし子供をSNSに投稿して、よりよい自己実現(もっとも高次な欲求)につながるのだろうか

その投稿に伸び代はあるのだろうか

投稿に対する評価や批評をもらう事で、子供がより可愛くなったり、より賢くなったりするのだろうか

そんな事はないだろう

それどころか、子供が成長して自分の元から去っていったのちに、いったい何が残るだろうか

大袈裟かもしれないが、行き着く先は

思い通りにならない子供に価値観を押し付けてしまう 執着を産む可能性も孕んでいる

(外来でこのような親をよくみる)

子供はあなたのアクセサリーではないのだ

子供ではなく、もっとあなた自身の中に、誇れるものがたくさんあるはずだ

そう思ってしまうから、私はSNSに子供をUPする人が苦手なのかもしれない

当初SNSはもっと、気軽に投稿するものだった

最近は評価の肥大化が起こっており、他人をこき下ろしたり、見下すことで、承認欲求をみたそうとする人もいる

満たされない承認欲求が、有名人や権力を手にしている人に対して攻撃的感情を生じさせることがある

過剰な評価や押し付けには注意が必要である

どのようにSNSを使うのかは、個人の自由ではあるが

SNSを多用する人は、いくら華やかな投稿をしようとも、根本的には満たされていない人が多い

それどころか、知らず知らずのうちに、あなたの自己肯定感を蝕んでいるかもしれない

心のすみにSNSの副作用を留めながら、賢く活用してほしい

日本のシステムでは子育てが大変すぎるという背景も関係している

マズローの欲求段階でいう自己実現など現実的ではなく、ましてや社会的欲求を満たせない人もたくさんいる

子育てをしながら、仕事や自己実現にとり組みやすい環境の整備が足りていない

簡便に承認欲求を満たすツールであるSNSは、たくさんの人の心の隙間を一時的に埋めてくれているのだろう

しかしそれは、あくまで応急処置でしかないのだ

私はSNSに子供の写真をUPする人が苦手だ

この感情は、私個人のただの嫌悪ではあるが

その影には、日本の社会問題が潜んでいるのかもしれない

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